浅草文化観光センターで購入した。
台東区の発行であり、台東区発足60周年記念として出版されているだけに、貴重な写真と画が掲載されている。
もちろんこの本には、上野・浅草を中心とした台東区の文化と歴史が掲載されている。
だが、この本を見ていると、昔の浅草の姿が蘇ってくる。
浅草公園に「パノラマ館」や「人造富士山」があったことは、本を読んで知ってはいたが、はたしてどのようなものだったのかは、なかなかイメージできないでいた。
しかし、この本にはパノラマ館や人造富士山の写真で載っていた。おかげで、「こういうものだったのか」とわかった。なんと、人造富士山は張り子だったのだ。
その他、「花やしき」「水族館」「浅草十二階と大池、遊楽館」「浅草公園の噴水」「市村座」「宮戸座」「酉の市」も写真で掲載されていた。
「水族館」は川端康成先生の『浅草紅団』の舞台の一つともなっているが、それを写真で見たのは初めてだった。
「仲見世の今昔」がいい。
明治20年代、30年代、44年、大正13年、大正末ごろ、昭和初期、昭和7年、8年、10年代、終戦後と、時代を追って写真はがきが掲載されている。
仲見世を往来する人の姿もはっきりと確認でき、その時代に入り込んでしまったような錯覚になる。
「浅草公園六区の今昔」でも、明治期、明治末期、大正13年、大正末期、昭和6年、10年、13年の六区の写真が掲載されている。
この写真には「電気館」「千代田館」「日本館」「オペラ館」「帝国館」「遊楽館」「富士館」「三友館」「大盛館」「キネマ倶楽部」がはっきりと写っている。これで本で得た知識と実際の姿が結びついた。
六区を歩いている人の姿も確認できる。
心に残り続ける昭和のおかあさん
『浅草のおかあさん』