浅草のおかあさん

第19話 人生丸抱え「松屋デパート」

子供のころは屋上遊園地で遊び、小学校に入ってからは文房具を買い、中学や高校に行ってからはシャツやスラックスやセーターを買い、就職する際にはスーツを買い、就職してからはコートを買い、地下で食料品を買ったデパートで結婚式を挙げた。
「松屋デパート」は浅草っ子の人生のあらゆるステージに関わっていた。
浅草っ子の人生を丸抱えで面倒を見てくれたことになる。

 

浅草のおかあさんをよく婦人服売り場で見かけた。
浅草のおかあさんはブラウスやセーターを、何度も自分の服に重ねて鏡に写していた。
当時は、知り合いのお嬢さんが進学したり、就職した場合などは衣類を贈ることが一般的だった。男の子の場合もワイシャツなどを贈った。
浅草のおかあさんを見て、デパートの店員は「よくお似合いですよ」などと言って近づいてきたが、浅草のおかあさんは「近所のお嬢さんに贈るんですよ」と笑って答えていた。
浅草のおかあさんが選んだ衣類はみんなに喜ばれた。

 

『浅草のおかあさん』目次

 

「松屋デパート」で結婚式を挙げる人は多かった。

 

「浅草のおかあさん」をよく婦人服売り場で見かけた。

 

遊園地があった屋上

 

 

◆「浅草のおかあさん」と呼ばれた女性の物語

浅草のおかあさん

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第19話 人生丸抱え「松屋デパート」
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