今年も年のおわりに、「松喜」に浅草のおかあさんたちの行列ができた。
今年は、娘さんの姿も見られた。
代送りといったものなのだろう。
浅草のおかあさんたちは、「仕事納め」ならぬ「自分納め」をしているのだと思う。
「松喜」の肉を求めて並ぶことで、この年の自分に「けじめ」をつけているのだ。
浅草のおかあさんたちが松喜の行列に並ぶ姿は、小説『浅草のおかあさん』に出て来る。
そこには、こう書かれている。
「浅草のおかあさん」も毎年、大晦日に、「松喜」の肉を買う列に加わった一人である。
普段の買い物はお手伝いのカッチャンに任せていたが、この日ばかりは自分にけじめをつけるために並んだ。
そう、「浅草のおかあさん」もこの1年に「けじめ」をつけるために、「松喜」の列に並んだのだ。
心に残り続ける昭和のおかあさん
『浅草のおかあさん』
浅草のおかあさんたちの「自分納め」