浅草のおかあさん

アーカイブ

第11話 それぞれの隅田川

隅田川に架かる橋と川面を見つめた作家は多い。 川面は、見る人により、見る時代によってまったく違って見える。 いまの川面を見つめている人もいれば、過ぎ去った日の川面を見つめている人もいる。 橋の上に立つと、さびしさと切なさ […]

第12話 おかあさんと育てた朝顔

七月の六、七、八の三日間、入谷で「朝顔市」が開かれる。そこで買った朝顔の鉢植えが浅草中の家の前に置かれた。 しかし、おかあさんと一緒に朝顔を種から育てたという浅草っ子は多い。 私たちにとって、これが植物、生命との最初の出 […]

第13話 おかあさんとかき氷

おかあさんや子供たち、お手伝いさんが、かき氷を食べているときは、その家のおとうさんの機嫌がいいときである。 浅草のおとうさんたちは気難しかったから、夕食を食べているとき、ちょっとしゃべっただけで手が飛んできた。 いまの時 […]

第14話 浅草の夫婦

浅草の男たちは、店では難しい顔つきをして、店員を叱り飛ばしているくせに、同業者会などのちょっと正式な会に出席すると、普段、着ることもないスーツを身にまとい、借りてきた猫のように席に座っている。 そればかりか、自分の娘の見 […]

第15話 おかあさんたちの夏休みの宿題

夏の最後におかあさんと子供が取り組むものといえば、夏休みの宿題である。   おかあさんたちは、最初は子供と一緒になって、「さあ、よく考えてみて」などと声をかけ問題に取り組もうとする。 しかし、ここは浅草である。 […]

第16話 南天や赤きに集う小鳥かな

学校の俳句の宿題に、この句を頂戴した浅草っ子は多い。この句は作者不詳のまま浅草で広まっていったが、この句の作者は「浅草のおかあさん」である。   「浅草のおかあさん」が作った句をよむと、写実的である。この句の情 […]

第17話 目的が明確なおかあさんたちの旅行

秋ともなれば、おかあさんたちは旅行に行った。 浅草にいるおかあさんたちの旅行は、ちょっと変わっていた。   おかあさんたちにとって、旅行の目的はみやげを買って帰ることにあったから、行き先がどこで、泊まるホテルが […]

第18話 遠足の切り札「志乃多寿司」

おかあさんたちは、子供が遠足に行くともなれば、「志乃多寿司」に予約をしておき、その日の朝、取りに行った。 「志乃多寿司」は雷門仲通りにあり、いまでも健在である。ラーメンの「馬賊」の向かいといえば、わかる人が多いと思う。 […]

第19話 人生丸抱え「松屋デパート」

子供のころは屋上遊園地で遊び、小学校に入ってからは文房具を買い、中学や高校に行ってからはシャツやスラックスやセーターを買い、就職する際にはスーツを買い、就職してからはコートを買い、地下で食料品を買ったデパートで結婚式を挙 […]

第20話 『下町の太陽』

倍賞千恵子が歌う『下町の太陽』は流行ったころ、『下町の太陽』を歌いながら現れる人がいた。 「浅草のおかあさん」の会社で働く山根さんだった。 山根さんは古くから浅草のおかあさんの会社にいた女性事務員だったが、同じ会社の若手 […]

トップへ戻る